巻頭言:教育の場で数学を読む楽しさを
河野俊丈(東京大学大学院数理科学研究所教授)
高校数学ニューサポートVol.1(創刊号)
東京書籍2004年4月発行
[本文より]
この数年,大学院などで数学の教育を受けた人材が,社会で活躍する機会が増えている。これは,大学院重点化にともなって大学院生の数が増えたことにもよるが,社会のさまざまな分野で,数学を学んだ人材に対する期待が高まっていることの現れでもある。それでは,数学を学んだ人材に対して,社会ではどのような資質が求められているのであろうか。もちろん,すべての卒業生が,自分達が勉強してきた数学と直接関わる仕事に携わっているわけではない。それにもかかわらず,このような多様な需要の中で,本格的な数学の教育を受けた人材に期待が寄せら
東京大学大学院数理科学研究所教授 河野俊丈