[本文より]
世界史の授業に於いて,生徒に興味を持たせつつ,一方的な知識の注入に終わらず,また単なる受験必須事項の暗記に止まらず歴史の醍醐味や見方・考え方を養うにはどうなすべきかなど,頭を痛めている方は多い。活字離れが進み,多くの行事や課外活動を抱え,受験に於いても社会科系統の科目や古典が軽視されがちな中,教える側は何を為すべきで,何を為し得るのか。このような状況にあっても,筆者の思いは,有り体に言えば,単に受験のための暗記に終わるのではなく,生徒たちが自己の歴史に対する考え方や見方を形成し,さらに現代的な課題や未来の方向性を考えていこうとする態度を養いたいというものである。本稿は,このような思いを具体化するために筆者が作成した独自テキスト(以下テキスト)の一部と,それを用いた授業実践の報告である。このような報告が,日々奮闘されている先生方に,僅かなりとも参考となれば幸いである。併せて大方の忌憚のないご意見を賜りたいと願っている。なお,現在世界史Bは2年生配当,4単位である。
立命館慶祥高等学校 斎藤忠和