[本文より]私が興味を持って研究している「書くこと」と「コミュニケーション」についての雑感を述べさせて頂ます。
私の研究の出発点は,文章表現教育の研究でした。もともと小学校の教員をしていたので,子どもの文章を読むのが大変好きで,その延長線上に今の研究があります。「この子はなぜ,こんな文章を書いたのか。」「この子がここで,表現を書き換えたのはなぜか。」など子どもの文章表現のプロセスから,そこに働いた子どもの思考過程を読みとることに取り組んでいます。その作業は大変手間がかかりますが,面白いです。例え,ねじれた非論理的に見える文章でも,その作成過程ではその子なりの一貫した論理が働いているのです。こうして分析したことをもとに望ましい文章表現教育の可能性を探っていきたいと思っています。
香川大学助教授 佐藤明宏