[本文より]近年,「気持ち読み」が否定されている傾向がある。その傾向を作り出したのは,「気持ち」の解釈の発表会的授業である。しかし,私は,「気持ち読み」は必要であると考える。特に,小学校の教材では,登場人物の気持ちを読み取らなければ,「作品のおもしろさ」に触れることはできない。ここで取り上げる「ごんぎつね」などは,その典型的な作品ではないのか。ごんと兵十の気持ち以外に,何を読み取るのだろうか。問題なのは,「気持ち読み」ではない。気持ちの想像,あるいは解釈だけを追求させようとする指導にある。
宮城教育大学附属小学校 日野精一