本学級の児童は1年生ということもあり,自分のことを話すのが大好きで,休み時間には日常生活のひとこまを思いつくままに話してくれる。これは,日常的な会話が今までの生活の中で,話しことばとして自然に習得されてきたからであると思われる。しかし,改まった場でまとまった話をするとなると,とたんにことばが途絶えがちになる。これは,単なるおしゃべりと,伝えるべき内容を相手に分かるように話すこととは大きな違いがあることを示している。また,あふれ出てくる思いを順序立てて話すことも苦手である。すなわち,今までの言語経験で自然習得的に身につけてきた力だけでは,「伝え合う」ことは難しいということがいえるのである。このことから国語科の学習の場において,自分の思いや考えを相手に伝える手順や,相手の思いや考えを正しく理解する方法を学ぶ必要があると考える。
愛知県中島郡祖父江町立牧川小学校 荻本桂子