[巻頭エッセイ]戦地からの便り「書く」ということ-『わたつみを越えて』・『硫黄島からの手紙』-
ニュ-サポ-ト高校国語Vol.8(2007年秋号)
[本文より]
これは,川嶋芳夫『戦地からの便り わたつみを越えて』(大塔社)に収められている,小学生の二人の娘への便りである。川嶋は,山形県の農村の小学校の先生で,昭和16年10月に招集,南方へ派遣され,ボルネオ,ジャワ,濠北,マレ-,スマトラを経て,昭和22年6月に復員した人である。この外地にあった七年間に内地の家族へ送った便りをほぼ原寸大に復刻したのがこの本で,収められている便りは二五四通にのぼる。