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夏休みだというのに学校はじつに活気に富んでいます。いえ,むしろ夏休みだからこそ生徒達はいつも以上に部活動に,学校祭の準備にと,汗を流すのでしょう。学力向上には授業や補習だけではなく,こうした各種の課外活動もまた欠かせないのだと痛感します。そして,長期休暇の大切さを思わずにはいられません。
ところで,それは私たち教師にとっても同様ではないでしょうか。日々の授業の準備や入試問題の解説,それらの合間を縫った切れ切れの読書だけでは教科指導力は維持しきれないと感じています。授業はいわば“アウトプット”。じっくり腰を据えて読み,考え,それらを何らかの形で表現することによって漸く維持される“力”があると思います。どんどん“インプット”していかないと自分が空っぽになってしまいそうな気がします。
今年の夏も,各社から出版されている新書,特にこの春リニューアルされた岩波新書に注目してみました。新書の老舗だけあって,昨今の一種の“軽み”からは距離を取っていると見えた岩波ですが,内容の濃さはそのままに,ぐうんと読みやすさが加わりました。それらの中から次の一冊を紹介したいと思います。分かりやすい章立て,各章末のさりげないサマリー,明快で優しい語り口は,生徒の関心も大いに引くものと確信します。
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愛知県立明和高等学校 黒田あつ子