巻頭言:情報化時代と手書き文字
栗原盧水(書家)
高校書道ニューサポートVol.1(創刊号)
東京書籍2004年4月発行
[本文より]
ワープロは市場に出回り始めたばかりのころは大変高価で,個人で手に入れることなどなかなかできなかった。しかし,現在では,多くの家庭でもワープロ・パソコンが使われるようになってきている。そのお陰でキーボードを押せば,「憂鬱」「顰蹙」のような手書きでは書きにくい(あるいは書けそうにない)文字が誰にでも書けるようになり,伝達するという「技術」は格段に進歩している。そのため,ますます手書きの習慣は薄れ,文字は書けなくとも,読めさえすればよいとの声も囁かれるようになった。
書家 栗原盧水