[本文より]1993年のバブル崩壊以降,少子高齢化の進行と家族・地域の変容,情報化・グローバル化など社会の変化が急速に進む中で,現在,教育に求められているのは,変化の激しい社会を生き抜く力である。現行の学習指導要領では,「生きる力」「確かな学力」と謳われているが,2003年のPISAの国際学力調査では,記述の問題で無回答が多く,考えることを放棄しているかのようであるとの指摘がなされている。今後も,社会が大きく変わろうとしている。教育はどうあるべきか,もう一度原点に戻り,そのあり方を見直す必要がある。そして,子どもたち一人ひとりに応じた能力の開発や向上を行い,小さなエンジンを持った社会の一員として生涯を通して努力し続けようという意欲を育てていくことが重要ではないかと考える。
横浜国立大学教育人間科学部助教授 川原田康文