英語-教室の窓Vol.9 2007年1月発行より。公立高校入試問題の全体的な感想として,すべての問題が実によく練られた問題であるという印象を受けた。どの都道府県も「聞く」「話す」「読む」「書く」という英語の4技能をバランスよく評価できる問題を出題している。「話す」では会話文の出題がすべての都道府県で見られた。会話特有の表現や道案内など特定の場面に必要な定型表現を問う問題のほかに,「あいづちを打つ」「質問する」「同意する」などの機能を持つ表現が出題されていることは注目に値する。「会話」というと,電話や道案内の会話に必要な「定型表現=決まり文句(例:This is Tomoko speaking./Turn left,and you'll find the library.など)」に気をとられがちだが,実は「あいづち(Did you?/ Was it?)」「疑い(Oh,really?/ I cau't believe it!)」「同意(I agree withyou./ I think so,too.)」などの機能を持つ様々な表現を駆使して会話の流れを作っていく「会話のストラテジー」が実際の会話場面ではより重要なのである。そういう意味では会話の流れを考えて,その場面に最もふさわしい表現を入れる,という問題が多いのは「実用的」な英語力を問う問題といえよう。
立教女学院中高等学校教諭 石井智子