[本文より] 台風というと,民放各局のテレビは,どうしてあのような画一的な放送しかしないのでしょうか。レポーターを海岸に立たせての実況放送は迫力があると思い込んでいるのでしょう。しかし,肝心な報告の日本語がたどたどしくて聞き苦しいのがほとんどです。カメラを前にして話すというのは,それだけでもあがり勝ちで,危険な場所であれば余計に話しにくいであろうとは思います。しかし,「時折すごい風圧が感じます」とか「今は雨も風もあがっていますが」などというのはかなり気になります。フジテレビなどは,木村太郎キャスターをレポーターにして,城ヶ島海岸に立たせていました。さすがに日本語は一番聞きやすかったのですが,そこまでやる必要はないだろうというのが私の印象でした。波浪のすさまじさを伝えたいならば,そういう映像を送るだけでよいでしょう。へたな実況報告などつけないほうがよいのです。
東洋学園大学教授 浅野博