[本文より]6年振りのニューヨーク。10月中旬とあって,まだまだ暖かさが残っている。ドキドキしながら,空港の税関の前に立った。両手の人差し指の指紋を取られ,小型カメラで顔を撮影された。どんなふうに写っているのか興味津々で,首を長くしてモニターに写った自分の顔を見た。日系の税務官がニヤッとして私の顔を見た。間違いなくFBI捜査当局に連行される犯人の人相である。やけに可笑しかった。これが私の合衆国での記録になるのである。カラー映像だが,黄色人種にはとても見えない。歳を取ったその辺のくたびれたおじさんが顔写真を撮られ,新聞に載る例の写真と思えばよろしい。
(三菱商事株)人事部海外子女教育相談室室長・練馬区立関中学校前校長 山本新治