[本文より] ロンドンへ出かけない日の午後3時50分,自宅近くのブライトンの海岸を歩いていたら,ホライズンの彼方に落ちていく日没が見られた。当地では夕日が海に沈むのは冬だけで,晴天の日でもイギリス海峡(English Channel),つまり,海との境界近くの空には,いつも雲がかかっているので,この光景は珍しいものだった。冷たい空気の中で,海岸沿いの芝生のグリーン,海のコバルトブルーと調和して美しさを増しつつも,ダークレッドの太陽は水平線にさしかかると,瞬く間に消えてしまった。
専修大学教授 ロンドン大学客員研究員 三浦弘