[本文より]よく中学校時代のことを思い浮かべます。田舎の小都市にあった中学校へ,当時は僅か2駅だった距離を煙をはく汽車に乗って,通学したものです。汽車の本数も少なく,駅で待つ時間が30分以上などはしばしばでした。そんなとき,明日までの宿題があったり,間もなく定期試験だというとき,駅前にあった倉庫には入り込み,宿題箇所や試験の範囲を懸命に勉強したものでした。そして暗唱もしました。当時は習ったところを復習したり,覚えたりすることがそれほど苦痛ではありませんでした。今思うとかなりのぺージの内容が,僅かの時間で頭に入ってしまったと思っています。記憶力について当時と比べたら,今の私は限りなくゼロに近いと言ってもよいでしょう。
日本橋女学館短期大学 下村勇三郎