[本文より]キーウイがニュージーランド(以下NZ)の国鳥であることはよく知られている。主として褐色の羽をした夜行性の鳥だ。キーウイが知られている理由のひとつは,他のNZ原産の鳥類と同様,翼がない珍鳥だからであろう。人類の到来以前のNZはその国土の9割がカウリやトウタラなどの森林や亜麻に似たフラックスなどのブッシュに覆われており,犬猫はもちろん,豚,イタチ,ポッサムなどの捕食性の動物がいなかったため,保身のため飛ぶ必要がなく羽根が退化してしまったのである。NZは鳥類にとってまさしく楽園だったにちがいない。その当時キーウイは12000万羽以上棲息していたと推測する学者もいるくらいである。
山形大学名誉教授 金山等