Essay(海外便り)from Brisbane-豪語! オージー英語は「イー」感じ!
柳沢有紀夫(作家)
英語-教室の窓Vol.6(2006年1月発行)
[本文より]
それは6年半前の初夏だった。「ところでオーストラリアってナニゴを話すんですか?」オーストラリアへの家族移住を1か月後に控えたある日,当時小学校一年生になったばかりの長男の同級生のお父さんと話をしていたとき,突然,そう質問された。一瞬,「ナニゴ」の意味がわからず,怪訝な顔をしていると,石田純一似の二枚目お父さんは,初夏のようなほがらかな脳天気さで言った。「ああ,オーストラリアだからオーストラリア語かな? フランスではフランス語,ドイツではドイツ語,ブラジルではブラジル語が話されるように」……。ブラジルでポルトガル語が話されていることを知らないのもナンだが,オーストラリアの公用語が英語であることくらいは知っていてほしかった。もっとも長男もどこでどう知識を仕入れてきたのか知らないが,「僕はオーストラリアに行って,アボリニ人になるんだよ」とあちこちで吹聴していたから,先の脳天気なお父さん一人を責めるわけにはいかない。
宮城教育大学附属中学校 佐藤秀二