[内容]最近,愛知県の私塾の先生方の会に参加した。そこで,塾の生徒の英語力に話が及ぶと,先生方の焦点は彼らの力,とりわけ英語を読む力が落ちてきていることに集まった。中学生も高校生も,その目的がどうであれ,学校は勿論のこと,あらゆる塾や英会話学校に通って,英語コミュニケーションの力を磨いている。海外語学研修参加も増えてきた。このように英語熱が高まるにつれ,私塾の先生方も,世間の人たちも,いや公教育の教師たちですら,彼らの英語力はさぞかし伸びているはずだと思っている。しかし,現実,生徒たちの学力はこうした傾向とは裏腹に,低下の一途をたどっているのである。そのことがとりわけ大きな話題になった。コミュニケーション能力の育成ということで,中学でも高校でも盛んにそれなりの教育がなされているはずなのに,どうして?と疑問を一方に感じながら,鋭意,入試対策を中心とした教育を日々進めているとのことであった。
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愛知教育大学名誉教授 後田忠勝