[本文より]
英語を使ってコミュニケーション活動をするのは好きだけれど,文法は嫌いだという英語学習者は多い。なぜ文法は嫌われるのだろうか。規則を覚えられないからいやだとか,複雑すぎてわからないとか,嫌う理由はいろいろあるのだろうが,最大の理由は何のために覚えるのかがわからないところにあるのではないかと思う。苦労して覚えた先に何があるのかがわからなければ,試験に出るから仕方なく覚えるしかないという姿勢になってしまうのは当然のことであろう。このような文法に対する苦手意識は,筆者が高校生の頃,世界史に対して感じていたものとなんとなく似ているように感じられる。
東北学院大学教授 村野井仁