「『書くこと』の指導が小学校で始まったのに、生徒は全然書けないんですよねぇ」
「中学校に行くと、子どもたちは英語が嫌いになっちゃうみたいで…」
小学校の先生も中学校の先生も、毎日一生懸命授業を行っているのに、このような声を聞くと悲しい気持ちになりますね。しかし、よくよく聞いてみると、その言葉の裏ではみなさん同じように「小中の学びをうまくつなげるにはどうしたらいいの?」という悩みを抱えているようです。そもそも、小中での学びは「何で」つなぐとよいのでしょうか。学習指導要領?カリキュラム?言語活動・・・?どれも正解ですが、すぐに手に取って子供たちの学びが見えてくるものが身近にあります。そう、「教科書」ですね。改めて小・中学校それぞれの教科書を開いてみると、同じような話題を扱っていたり、似たような場面設定がされたりしていることに気付きます。また、英語表現を見ると、小学校6年時には動詞の過去形や頻度を表す副詞、疑問詞や様々な形容詞に触れていることが分かります。以前、中学校の先生たちに、小学校で扱う表現の一覧を提示したところ、みなさんとても驚いていました。小学校でどのような表現に触れてきているのかを中学校の先生が把握するということは、「生徒たちにとって本当に新出の表現は何か」を把握することにもなります。すると、新しい単元が始まるときの導入の仕方や授業を構成する視点が変わってくるのではないでしょうか。表現だけではなく、話題についても同じです。小学校では何(誰)かを「紹介」する、という活動をたくさん行っています。もし、忙しくて小学校の教科書を読む時間がなかなか作れないという方は、My Picture Dictionaryを手に取ってみてください。小学校5、6年生で触れた表現がぎゅっと詰まっています。36ページ以降には、Unitごとに扱った表現やCan-Doが一覧となって記載されているので、中学校での学びをデザインする際にとっても役に立つと思います。…
群馬県総合教育センター 義務教育研究係 指導主事 柳川祥恵