(教室の窓)社会版・機関誌 社会科・地図 NEWSLETTER 第7号[2019年]より。 「同じ範囲を地図に描く場合,大縮尺と小縮尺では どちらが大きく表されるか?」と問われたら,一瞬 戸惑う方が多いのではないでしょうか。地図は地球 上の様子を縮めて表現しますから,分数の分母が小 さいほど大きな地図(大縮尺)ということになります。 江戸時代後期に作成された,有名な「伊能図」も大図, 中図,小図に分かれ,大図は36,000分の1,中図 は216,000分の1,小図は432,000分の1となっ ており,縮尺と大中小の分類が一致しています。国 土地理院では5千分の1より大きい縮尺を「大縮尺」, それより小さく,20万分の1までを「中縮尺」,そ れ以下を「小縮尺」と称しています。この分類は, 地図製作機関や国によって多少の違いがあります。 さて,小・中・高等学校で使用されている地図帳 に記載されている地図は,その多くが「小縮尺」です。 小縮尺の地図作成では大縮尺とは異なる作業が生じ ます。それをご紹介します。
株式会社 平凡社地図出版 取締役 水谷 一彦