先日出席した研修会の中で,新教材の作成に携わってこられた,長崎大学の中村典生教授のお話をお聞きする機会がありました。その中で,新教材を作成する際には,「言語材料を丸暗記させること」ではなく,「目的・場面・状況に応じて,必要な英語表現を身につけられるようにすること」を大切にして構成を考えられた,ということを教えていただきました。たとえば,『We Can! 2』のUnit 5では,初めて「過去形」を使った英語表現が出てきます。しかし,上記の点をふまえて考えると,ここで最も重要なのは,「過去形を覚えさせる」ことではなく,「夏休みの思い出を,英語を使って伝え合うという “目的” を達成するために,過去形が必要になる」という視点である,といえます。したがって,今年度の実践を進めていく上では,まず,単元の最終場面で目ざす子どもの姿を明らかにし,ついで,そのために必要な言語材料や英語表現を,1時間目から無理なく積み上げていけるよう配列していくことや,それぞれの活動に,子どもたちが目的意識をもって取り組めるようにすることを強く意識しています。
北海道羅臼町立春松小学校 教諭 岡本啓吾