入試の担当は平等に回ってくるもので,僕のようなペーペーばかりが駆り出されるわけではない。大学を代表するスーパースターがセンター試験の監督を普通に担当する。いつも世界中を飛び回り山のような仕事をこなしているチョー多忙な大教授が,後ろの隅の席で静かにこっくりこっくりしている姿を見て,かつて妙に感動をしたのを憶えているが,これぞ入試という風物詩である。大学というところは,費用対効果や効率などの経済原理とは違う世界観で動いているのだろう,ここが僕の気に入っている所でもある。このヘンな平等性が大学らしさである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎