ニューサポート高校「国語」vol.30(2018年秋号)より。子どものための哲学( philosophy for children = p4c)という授業が,アメリカで生まれ,日本にやってきた。子どもたちとともに対話する,このプログラムを,筆者はここしばらく国語の時間に繰り返してきた。通常の授業スタイルとは異なった,この授業を自分自身が始めた理由の一つは,学校で繰り広げられる成績評価の息苦しさにあったのだろう。この稿では,教育の中で引き起こされる本来の成長とはどのようなものなのか,という私自身の根強い疑問について考えてみたい。高校二年生の授業で,中島敦『名人伝』を教材にした実践例。
神戸大学附属中等教育学校 中川雅道