[本文より]私たち理科の教師が授業をするときにもっていたい技は,どんなものだろうか?かつて,私なりに10カ条にまとめてみたことがある。
まずは,教えるテーマの中身についての知識である。私は,子どもたちがその知識の獲得過程を通して「物質の世界」(広くは自然の世界)をどのくらいゆたかにとらえられるようになるか,ということを基準に,教える知識内容をセレクトしたい,と考えている。 授業時間には限りがある。限られた時間の中で,教師のねらいを最大限達成できるように,取り上げる教材やその配列などを考えるのが,次の段階である。「発問」と「実験・観察」が授業展開の要となるであろう。理想的には,その教師からの発問は,子ども自らが自然の事物や現象を見ることで生じた疑問と重なることが望ましい。つまり,教師が与える問題が,まるで子どもの内発的な疑問とイコールであるかのように。
東京大学教育学部附属高等学校 左巻健男