第11回 児童生徒 理科部門 奨励賞:赤い石は北投石?台湾で見つけた石の秘密
児童生徒 理科部門 奨励賞

赤い石は北投石?台湾で見つけた石の秘密.@
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  • 赤い石は北投石?台湾で見つけた石の秘密
  • 台北日本人学校 中学部 細井美里
  • 撮影年月日 2018年5月5日
  • 撮影場所 台湾

応募者解説

 台湾に暮らし始めて1年半が過ぎました。初めて台湾に来たときは「バイクが多い」「活気がある」など,見て分かる事に気づきました。私は,台北に住み,人々と触れ合い,季節の変化を感じ取ってきました。台湾についてさらに調べました。もっと深く知るためには自分で調べなければいけません。どの国にも,その国の歴史や文化があります。その歴史や文化を学ぶ事で,その国や街の人々への理解が深まります。他の国を学ぶ事は,楽しくもあり,自分の国の理解にもつながります。私は台湾が大好きです。

 @ある日,私の家から歩いて10分の所にある天母公園に行きました。川の流れを見に行くと,赤い石を発見しました。私は,日本で石を集めるのが好きでした。赤い石は初めて見たので,とても驚きました。学校の授業で近くの別の川を通った時,また赤い石を発見しました。先生が,「この川はこの近くの山の上の温泉から流れています。」と言っていました。私はこの山に秘密があると思い,家に帰って調べてみました。山の名前は陽明山と言います。家で調べると,山の水には硫黄が入っているそうです。家まで30分で,風向きで卵の腐ったにおいがやってきます。においの正体は硫黄で,山を源泉とする北投温泉があるそうです。北投温泉は,「北投石」というとても珍しい石が採れます。「あの赤い石の正体は,北投石かもしれない!」と思いました。

 A私は,北投石を調べました。国立台湾大学にある北投石を見に行くと,石は赤くなく,私が見ていた石とは違いました。北投石は,世界で台湾の「北投温泉」と,秋田県の「玉川温泉」しか採れないと台湾大学で学び,日本とも繋がりがあって驚きました。また,北投石を発見したのは日本人で,地質学者岡本要八郎先生といいます。これも繋がりを感じました。また,鉱石に日本の名前和名がついた石は本当に珍しく,とても貴重であると台湾の博士から聞きました。

 B北投石発見場所【北投温泉滝之湯】1905年(明治38年),瀧乃湯で入浴した帰りに付近の川で発見された。その後,この鉱物がラジウム等を含み放射性を持つ北投温泉独特の鉱物(後に玉川温泉で産出する物も同じ物であると認定された)であるとされた。

 C赤い石の秘密を追って,川の上流に行ってみました。山の麓の「紗帽山温泉」に行くと,やはり,赤い石がありました。山肌が赤くなり,卵が腐ったような臭いがしていました。遊歩道を上がると地面からお湯が吹き出していました。リトマス試験紙で調べると,pHは4.0。酸性のお湯でした。

 DEFそして更に山の上部,噴火口を目指しました。陽明山は大屯山や七星山など複数の火山から形成される地域の事を指し,七星山小油坑は七星山の西北にある蒸気の噴出口です。遠くから見ると滑らかな山肌がざっくりと崩れたようになっています。これはおよそ70万年前に七星山周辺の火山活動が収束してから,行き場を失った地下の熱で蒸気の圧力が高まり,大規模な爆発が起こってできたと考えられています。崖の複数の場所からは蒸気が噴出していて,常にシュゴゴゴゴォーとうなるような激しい噴出音と硫黄の香りが漂い,硫黄の結晶が見れました。
 石が赤くなる原因は何なのか,台湾の研究者に聞いてみました。カギは,陽明山から流れてくる硫黄を含んだ酸性の水にあるようです。水が石の中の鉄分を酸化させ,サビと同じように赤く変質したそうです。もしかしたら,北投石かな!?とドキドキしましたが,原因はほかにありました。

 台湾は,九州よりも小さな島。でも,生き物も植物も,鉱石もけた違いに多いです。私の住む台北は亜熱帯気候で,雪山などの,3000mを超す高山では,冷帯になり,氷河地形もあります。赤い石の秘密を調べる中で,台湾の素晴らしいところをまた一つ発見できました。

【撮影について】

器材:canon kissx7
実際に足を運んで探求した。

台湾で解説,事実確認をした先生:台湾中央研究院地球科学研究所 飯塚博士

・撮影場所:石発見地:天母公園(台湾)
 陽明山噴火口,中腹紗帽山温泉,
 北投石発見の地:北投温泉滝の湯
 国立台湾大学地質研究系

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